ゲームとして見れば駄作。映画として見れば凡作|デスカムトゥルー感想【ネタバレあり】
率直な感想としては、変に期待しすぎてしまった感が強い。
というか公式は期待を煽りすぎだ。
実写とゲームの融合みたいな謳い文句には、以前「THE QUIET MAN」というゲームで散々痛い目を見たというのに…。
以下、いくつかに不満点をわけて感想。
ボリューム不足
1960円[税込]という値段はSwitchのダウンロード専用のタイトルとして見れば、比較的安価な部類だと思う。
しかし、それでもクリア時間2時間はないだろう。
今日日アドベンチャーゲームのルート全収集して3時間って聞いたことがない。
いよいよ25日にデスカムトゥルーリリースです。新作映画のように楽しんでいただきたいので1960円税込という価格にしました。インタラクティブ性やゲーム性のある新たな映像体験になったと思います。映像も音楽も素晴らしいです。1960円なので映画に行くつもりで買ってもらえると嬉しいです!#デスカム
— Shinsuke Umeda / 梅田慎介@IzanagiGames (@umeizanagi) 2020年6月23日
製作者はこんなツイートをしているけど、楽しめる時間まで映画と同じにしてどうするんだ。
ゲーム体験の欠如
個人的な意見ではあるけれど、アドベンチャーゲームの楽しさは選択するところにあると思っている。
プレイヤーの選んだルートによって展開が変わっていくから、ゲームとしてそういう作品が面白い。
しかし、本作にはその楽しさはほとんどなかった。
シナリオの都合上仕方のないことなのかもしれないが、最終盤まで一本道で、途中の選択肢も基本的に間違えると巻き戻って選び直しになるだけ。
最後の最後にようやくプレイヤー自身でエンディングを選べる選択肢があるけれど、果たしてこれはゲームである必要があったのか。
むしろゲームにすることで、選択を間違った際の巻き戻し等、映像作品としてのテンポも悪くなっているように感じた。
一部キャラの存在意義
一部に数合わせのようなキャラクターがいたのも不満点。
具体的に言うと、クルシマネネとミノウケンイチ。
この2人は出番もほとんどなく、シナリオ的にも全く関わることがなかった。
特にクルシマネネの方はハズレルートのほんの一幕に出るだけで、あまりにも扱いが酷い。
ミノウケンイチの方も、寒いおまけ映像への出演がメインで、このゲームに本当に必要だったのか疑問だった。
キャストでの客寄せや、登場人物欄でのミスリード要員だったりするのかもしれないけれど、もうちょっと何とかならなかったのか。
良かったところ
散々言ったけれど、決して良いところがなかったわけじゃない。
主演の本郷奏多らの演技はとても素晴らしいものだったし、特にこの作品で森崎ウィンという俳優を知れたのは大きな収穫だった。
それに、公式がやたら「映画」という部分を推していただけあって、シナリオ自体はそこそこ楽しめるものになっていた。
しかし、これもあくまでそこそこであって、期待するとやっぱり肩透かしを食らう。
本作のシナリオは、ダンガンロンパシリーズを作った小高和剛が担当しているが、それらのような意外な展開やどんでん返しなんかはほとんどない。
映画として見ても、毒にも薬にもならないような内容になってしまっているのが残念だった。
まとめ
まとめると、ゲームとしても映画としても中途半端で、だったら既存の名作と言われているものに触れる方がいいよねって感じ。
恐らく自分達のような普段からゲームばかりしてるような人間は、そもそもメインの想定顧客ではなかったんじゃないだろうか。
「ミステリー映画やドラマは好きだけど、ゲームはやらない。けどこれは難しくなさそうだし面白そう」
そんな層へ向けたプロモーションが多かったように思える。
しかし、もうそれなりにブランド化された名前なんだから、次からは小高和剛の名前で買ったユーザーにも少しは目を向けて欲しい。