やっぱりアニメには勝てないし、比較を抜きにしても微妙な内容|実写版氷菓感想【ネタバレあり】
日常ミステリーな氷菓は、案外実写化に向いているんじゃないかという淡い期待は開始5分で打ち砕かれた。
やはりキャラクターが魅力の作品はことごとくこうなってしまうのか。
実写版のキャラクターについて
まず奉太郎。彼が1番実写化に向いていないキャラだったんじゃないだろうか。
基本ローテンションで呆れながら周囲に振り回される所謂やれやれ系にも似たキャラは、実際の人間がやると痛々しいことこの上なかった。
FF7のクラウドがリメイクされたことで、当時と同じセリフが何故かより臭く感じられるのと似ている。
山崎賢人との相性も悪かったと思う。
モノローグが多いキャラなのに、声だけの演技が上手くないのが致命的だった。
この配役も最後まで謎だった。
広瀬アリス自体は割と好きなんだけど、千反田のイメージとはかけ離れている気がする。
かといってオリジナルの千反田が見れるわけでもなく、最後まで中途半端で違和感のあるヒロインのまま終わってしまった。
どちらかと言えば妹の広瀬すずの方が向いていたんじゃないだろうか。
あくまでもどちらかと言えば、だが。
伊原はただただ嫌な女子だった。
けど、彼女のキャラが立ってくるのは原作でも2巻以降だし仕方ないと言えば仕方ない。
しかし内容にも言えるけど、意味もなく無駄なところで原作に忠実に作るよなぁ。
そのせいでアニメ版の完全劣化として見てしまう。
そこら辺改変にうるさい原作厨も多いし、兼ね合いが難しいのかもしれないけど。
他のキャラに比べて里志は違和感はなかった。
演技力の差というよりは、元々わざとらしい演技臭いキャラだからかもしれない。
総じて、キャラが活きたアニメ版とは真逆の現象が起きていた。
ミステリーとして見た内容
ミステリーとしての内容もちょっと…という感じだった。
基本的な展開は原作通りに進むのだけれど、この映画ではラスト推理の確認パートまで奉太郎は事件の真相に気付いていなかった。
つまり、主題である謎の種明かしは当時の関係者が全部ベラベラ喋ることで為されたのだ。
これってそのジャンルでやっちゃいけないことじゃないか?
奉太郎の推理力も否定しているわけだし。
ここまで原作通りにやってきて、ここでオリジナリティ出す意味がわからなかった。
良かったところとまとめ
悪かったところばかり書いてもアレなので、良かったところも一応探してみる。
うーん、強いて言うなら本郷奏多が出てたところ。
予想していなかったからかなり嬉しかった。
酷く個人的な点だが。
あとはやはり、アニメ版の素晴らしさが再認識できたところか。
アニメ版の「アイスクリーム」の演出や演技でゾクっときたのを、本作の何とも言えない演出や演技で思い出させてもらった。
アニメと映画は別物と言っても、同じ作品である以上比べられるのは仕方ないことだろう。
多分、氷菓初の映像化が実写である本作だったら多少は評判も変わったはず。
それでも謎解き放棄があるせいで良作にはなり得ないが。
しかしこの実写化の影響で、アニメの2期は近付いたのか遠ざかったのか。
もう8年も待っているので、どうにか京アニには頑張ってほしい。いろんな意味で…。