等身大の青春が感じられる爽やかな傑作|アオナツライン感想【ネタバレあり】
ようやくアオナツライン全ルートクリア。
期待していた通りのものが得られた爽やかな作品だった。
特に海希ルートは、公式の宣伝文句でもある「等身大の青春」がこれでもかというくらいに感じられてとても良かった。
以下、クリアした順に各ルートの感想。
結ルート
1番王道に恋愛ものしていたと思う。
しかしそれ故に結構地味だった。
共通ルートでは結がきっかけとなって物語が始まるけれど、その実他のヒロインのサポートしている時が1番彼女らしかったという、ある意味不遇なヒロイン。
でもタイトルの「アオナツ」も「ライン」も結初出の言葉だったし、やっぱりキャラクター的には唯一無二のキャラだったなという感じはする。
あとは結の父親が良かった。
言うならば結ルートにおける恋愛の壁のひとつなのだけれど、ただ過保護な親バカなだけじゃなく、この作品で数少ない1人の大人のキャラとしてしっかり描かれていて、すごく好みのキャラクターだった。
格ゲーのくだりが1番テンション上がったのは内緒。
それ以降大して生かされることのない設定だったのが残念だったけど。
ことねルート
5人の夏休みの目標が明確で、協力感が良かったルート。
特に最後のゲリラバンドはベタに青春っぽい。
オーディションでのことねのセリフからも、5人の友情ってところに重きが置かれていたルートに思える。
しかし終わりがなんとも中途半端。
せめてオーディションに受かって芸能人として一歩踏み出してから終われよ、と。
現実的に考えると、友達がそういう道に入ると否が応でも関係が変わってしまうから、ルートの方向性を見るにそこは描けなかったのかな、とか考えたりする。
関係性の変化ってのは海希ルートで丁寧にやるわけだし。
ヒロインとしては作中1変化のあったキャラ。
毒吐き後輩キャラだったのに、いつのまにか甘ったるい蜂蜜みたいな言葉しか口から発さなくなっていた。
ただデレただけでなく、心情がちゃんと描かれているから人間として成長したところが見れたのも良かった。
3人の中では1番好きなヒロイン。
海希ルート
海希ルートというより千尋を含めた3人のルート。
本作のメインルートといっても過言ではないはず。
共通ルートでの主人公や海希のモノローグも、このルートを見ないとなんのこっちゃって感じだし。
こういうゲームって、主人公が恋愛パートに入ったら親友ポジションのキャラは自然にフェードアウトしていくイメージだったけど、このルートでは親友2人が結ばれたあとの千尋の着地点まで用意されていたのが良かった。
中学時代含めて千尋が1番好きなキャラ。
ベタすぎるが、この場面は思わず泣きそうになった。
泣きそうになっただけであと1歩泣けなかったのは、「いや、今生の別れでもあるまいし泣きすぎじゃない?」とか思ってしまったから。
別に誰かが引っ越すだの死ぬだのじゃないんだから、また3人で遊べばいいじゃん。部活忙しくなるって君らさぁ…みたいな。
まあ、表面上変わらないようにしていても、付き合った2人とそうじゃない1人だとやっぱり今まで通りにはいかないのかね。
そう考えると、千尋も海希に対して親友以上の気持ちをほんの少しどこかで持っていたのかもしれない。
3人の絆が強すぎて結とことねは完全に霞んでしまっていたけど、この2人に支えられて海希ルートは成り立っていた。
告白の後、ビデオ通話で2人が千尋に報告するところは、形は変わってしまったけど変わらない友情みたいなものが見られて好きなシーン。
あとは誰のルートにも入らず千尋と2人だらだらと夏休みを浪費する、所謂バッドエンドのようなものもあったが、これは特に触れるところもない。
強いて感想を挙げるとすれば、こういう浪費こそ青春とも言えるよねってことくらいか。
まとめ
そんな感じで、ど真ん中ストライクな好みで大満足な作品だった。
知名度や売り上げ的に難しいんだろうけど、メディアミックス化してくれたら嬉しいなと。
エロ要素抜きにしても、それに耐えうるシナリオだとそう思うわけですよ。
興味があってまだプレイしていない人は、ぜひ買って売り上げに貢献してほしい。